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本日、料亭旅館 創立「75年」を迎えました

本日、料亭旅館 創立「75年」を迎えました

1950年5月30日──
江戸時代、柳川藩を治めた立花家が、料亭旅館「御花」として新たな歩みを踏み出した日です。

戦後、生きるため、そして郷土の歴史的・文化遺産である大名家屋敷「御花」を手放してはならないと決意のもと、料亭旅館をはじめたのが16代当主の立花和雄・文子でした。

ときが流れ、本日、私たちは節目となる75年を迎えることができました。
これまで支えてくださったすべての皆さまへ、心より感謝申し上げます。

江戸時代、「家」としてはじまった御花

現在の御花の場所に初めて屋敷を建てたのは、江戸時代中期の5代藩主・立花貞俶公でした。多くの子息・息女に恵まれた貞俶公は、柳川城では手狭になったため、二の丸という家族が住むエリアを現在の御花の土地に移します。それが約300年前の御花のはじまりです。

明治時代に現存する文化財が誕生

江戸時代が終わりを迎え、時代は大きく変化。立花家も大名家から伯爵家となり、大きな転換期を迎えます。

明治政府の誕生と共に華族制度ができると、全国の旧大名家等は東京に移り住むことを義務化されました。そんな中、立花家14代当主寛治は、少し特殊な道を選択します。国の貢献として「農業の道」を選び、宮内省に特別許可を願い出て柳川に戻ってきたのです。
寛治伯爵が柳川に戻る決断をしなければ、きっと現在の御花が誕生することはきっとなかったことでしょう。

料亭旅館をはじめた立花文子はこの伯爵邸が建てられた年と同じ、1910年6月1日に誕生しました。生きていれば115歳。彼女は100歳まで生き、明治・大正・昭和・平成の激動の4つの時代を駆け抜けていくことになります。

日本で「唯一」のチャレンジ 旧大名家の殿と姫が料亭旅館を経営へ

第二次世界大戦の終結後、戦後改革によって華族制度が廃止され、窮地に立たされた立花家。御花と農園はなんとか残せたものの、7,000坪ある広大な御花を維持していくことは、並大抵のことではありませんでした。生き抜くため、立花家16代当主・和雄とその妻文子は料亭・旅館業に自らが取り組むという、当時からすると異例のチャレンジを決意します。

「お殿様、お姫様が料亭を経営するなんて!」と驚いた当時の人々。当時、「殿様が料亭に通うことは当たり前じゃが、料亭を経営するとは聞いたこともなか。なんぼ世の中変わったちいうたっちゃ…」「失敗でんすりゃ世の中の笑いものばい。」と、そんな会話で溢れていたそうです。

それでも16代文子は、持ち前の明るさで「なんとかなるわよ。」と和雄を励まし、残ってくれた親戚や使用人、紹介してもらった人々と共に日々奮闘。その結果、御花にはたくさんの人が集まるようになりました。

宿泊施設「松濤館」の誕生

料亭旅館を営んでいく中で、「古いものを未来に残していくためには、古いものだけでは残せない。」「地元の人も良かったと喜んで、観光客もまた満足して帰る、そんな観光を目指したい。」そんな会長 立花寛茂の想いにより、一世一代のチャレンジ。当時柳川には一軒もなかったホテル建築「松濤館」が1984年3月にオープンしました。

75周年を迎える節目の年のリニューアル

文化財のある景色、そしてその中に息づく物語を100年後の未来にも繋いでいくため、2025年1月にリニューアルオープン。

日本で唯一泊まれる国指定名勝の料亭旅館という特徴を活かしたアクティビティや大名家(立花家)の歴史・ストーリーをより感じられる宿になるため、長い時間向き合いました。

内装も100年先も変わらない上質で普遍的な温かみのある空間を目指し、経年変化を楽しめる自然素材や元々御花の屋敷で使われていた布石を石畳やオブジェとして使用したり、歴史的に繋がりの深い八女提灯や有田焼などその土地らしさも感じられるようになりました。

立花家18代 代表取締役社長 立花千月香 メッセージ

戦後、混沌とした時代の中、まずは生きていくために祖父母が創業した料亭旅館御花も、本日創立75周年を迎えました。

何度となく、様々な困難が立ちはだかる中、ここまで歩むことができたのも、ひとえに御花に来てくださるお客様方、いつも応援してくださる地元のみなさん、そしてこれまで会社を支えてくれた従業員みんなのおかげです。

人生の節目節目に代々、御花で思い出を積み重ねてくださるお客様のために、いつまでもこの場所を未来へと繋いできたい。

『受け継いだバトンをしっかりと次世代に繋げる』

それが使命だと思い、代表に就任してからこの10年を走り抜けてきました。向き合う壁は厚く、心が折れそうになるたびに、戦後、お姫様から女将になり、どんな時もへこたれずに笑って乗り越えてきた祖母に比べれば、まだまだこんなことくらいで諦めてはいけない、と自分も奮い立たせてきました。

こうして、この75周年という節目の年に、40年ぶりに松濤館をリニューアルできたこともきっと御先祖様たちが守ってくれたからだと思います。リニューアルをしたことで、私たちはより一層、『どうしたら100年後も御花を残せるか』という大きな課題にも真剣に向き合っています。

まだまだ手探りですが、ここで過ごす幸せそうなお客様の笑顔を通して、明るい未来を感じる毎日です。
『きっと、大丈夫。』そんな祖母の声が聞こえてくるような気がしています。

100周年までいよいよあと25年になりました。

毎日毎日の小さな積み重ねが、100年に繋がっていくと思っています。日々を丁寧に、全力で。これからも御花メンバー一丸となって、歴史を紡いでいきます。

私たちの100年後につなぐ想いが溢れた御花に、ぜひいらしてください。そしてお帰りをお待ちしております。